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ユニセフ:「食料と栄養に関する国連合同報告書」発表(2021年7月14日)

ユニセフ:「食料と栄養に関する国連合同報告書」発表
~世界の飢餓、新型コロナウイルスで悪化~

 国連5機関は7月12日、2020年に世界の飢餓が劇的に悪化したことを発表しました。その多くは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によるものと見られます。パンデミックの影響はまだ完全には明らかになっていませんが、複数の機関の報告書によると、昨年は世界人口の約10分の1、最大で8億1,100万人が栄養不足に陥ったと推定されています。この数字は、2030年までに飢餓をなくすという約束を世界が守るためには、多大な努力が必要であることを示しています。

●子どもの食料安全保障が危機に


報告書『世界の食料安全保障と栄養の現状(原題:The State of Food Security and Nutrition in the World)』

 今年の農業生産はおおむね良好であるにも関わらず、中央サヘル地ユニセフ(国連児童基金)、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連世界食糧計画(国連WFP)、世界保健機関(WHO)が共同で発行している報告書『世界の食料安全保障と栄養の現状(原題:The State of Food Security and Nutrition in the World)』の本年版では、初めてパンデミックの時期の状況を評価しています。

 昨年版の本報告書でも、何百万人もの人々、中でも多くの子どもたちの食料安全保障が危機に瀕していることを世界に向けて発信しました。「しかし残念ながら、パンデミックは、世界中の人々の命と生活を脅かす食料システムの弱点を露呈し続けています」と、5機関の代表は報告書序文に記しています。

 そして、外交的推進力の高まりに新たな期待を寄せつつも、「重大な岐路」に警鐘を鳴らしています。今年は、国連食糧システムサミット、成長のための栄養サミット、COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)の開催が予定されており、食料システムの変革を通じて、食料安全保障と栄養の問題を推進するためのまたとない機会となります。これらのイベントの成果は、「国連栄養のための行動の10年」の後半を形成することになると付け加えています。

●数字で見る食料と栄養

 すでに2010年代半ばには、飢餓はゆっくり増加し始め、確かな減少への期待は打ち砕かれていました。2020年の飢餓は絶対数と割合の両方で急増し、人口の増加率を上回りました。昨年は全人口の約9.9%が栄養不足だったと推定され、2019年の8.4%から増加しています。栄養不足の人々の半数以上(4億1,800万人)はアジアに、3分の1以上(2億8,200万人)はアフリカに住んでおり、ラテンアメリカとカリブ海諸国はそれよりも少ない6,000万人ほどでした。しかし、飢餓が最も急増したのはアフリカで、栄養不足の割合は人口の21%と、他の地域の2倍以上になっています。


© UNICEF/UN0469298/Dejongh

© UNICEF/UN0459217/Padji
●今からでもできること
  • 紛争地域における人道支援、開発、平和構築の政策の統合 -例えば、家族が食料と引き換えにわずかな資産を売らないようにするための社会的保護策など
  • 食料システム全体の気候変動へのレジリエンスを高める -例えば、零細農家が気候変動リスク保険や予測に基づく融資を広く利用できるようにする
  • 経済的に最も脆弱な人々のレジリエンスを強化する -例えば、パンデミックや食料価格の変動の影響を軽減するための現物もしくは現金給付支援プログラムを提供する
  • 栄養価の高い食品のコストを下げるために、サプライチェーンに介入する -例えば、栄養価を高めた作物の栽培を奨励したり、果物や野菜の生産者が市場に参入しやすくするなど
  • 貧困と構造的不平等に取り組む -例えば、技術移転や認証プログラムを通じて、貧困地域のフードバリューチェーンを強化する
  • 食品環境の強化と消費者の行動変容 -例えば、工業用トランス脂肪酸の排除、食品供給における塩分と糖分の削減、食品マーケティングの悪影響から子どもたちを守ることなど
  • 本報告書ではまた、変革を実現するために、政策立案者には、広く意見を聞くこと、女性や若者の後押しをすること、データや新技術の利用可能性を拡大することを求めています。そして何よりも、世界が今すぐ行動を起こすことを訴えています。さもなければ、パンデミックの影響が去った後も、飢餓や栄養不良を拡大させる要因が今後も深刻さを増しながら繰り返されていくのを目の当たりにすることになるからです。

(上記の画像および情報の出典は(公財)日本ユニセフ協会の関連サイトより抜粋)

<お問合せ先>

(公財)日本ユニセフ協会 0120-88-1052(平日10時~17時)

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