ユニセフの学用品支援に子どもたちから「お礼の手紙」(2011年5月13日)
ユニセフの学用品支援に子どもたちから「お礼の手紙」
~岩手県ユニセフ協会で安田直史医師が緊急支援を報告~
2011年3月11日の東日本大震災の直後、50年ぶりの日本支援を決めたユニセフ(国連児童基金)と日本ユニセフ協会は、被害の大きい東北3県の子どもたちを支援するため、日本ユニセフ協会東日本大震災支援対策委員会を置き、その下に岩手県と宮城県に対策事務所と常駐のスタッフをおいて、被災地の子どもたちのケアや生活物資・おもちゃ・図書・学用品などを、各県のユニセフ協会や生協などパートナー団体と提携して届けてきました。「ユニセフ災害対策盛岡事務所」には、フィールドマネージャーの安田直史医師、ソマリヤ事務所から國井修医師、アフガニスタン事務所から竹友有二さん(釜石出身)、ケニア事務所から水野谷優さんたちが参加し、この間支援に取り組んできました。
5月7日の岩手県ユニセフ協会第1回運営会議(盛岡市内のアイーナで開催、スタッフ15名参加)に、安田直史医師においでいただき、「発災から最近までのユニセフ緊急支援について」報告いただきましたので以下に概要を紹介します。
▲右端が安田医師(大槌町立安渡小学校避難所にて)
▲生協の配送車が運搬協力
●ユニセフの「緊急物資の支援」から「学校再開支援、心のケア」までの流れを報告
安田医師は、今回の災害の特徴を説明した後、ユニセフの支援の流れを「3月:緊急物資支援」⇒「4月:学校再開、保育園再開」⇒「今後:戦略的なプログラム的アプローチ」と説明し、各時期の支援の実例を詳しく報告しました。中でも、緊急物資の配送での生協とのパートナーシップの発揮が役だったこと、避難所での子どものためのスペース確保の意義(遊び場・「箱の中の幼稚園」「ちっちゃな図書館」読み聞かせ)とプレイセラピー協会などとパートナーシップによる「保育士研修」「保育士さんの心のケア」、「こころのケア」ではない「心理社会的支援」、母子健診再開、幼稚園・保育園の再開支援、学校再開支援まで進んだことに触れた後、今後は、「戦略的なプログラム的アプローチ」として、「孤児・遺児の問題、脆弱な環境にある子どもたちを保護する包括的な国のシステムづくりを支援する。また、子どもにやさしいまちづくり(子どもの参画)が必要」と話しました。「最終目標(ゴール)」は、子どもたちが安心して戻れ、子どもたちにとって優しい“地域”が復興されること(“Build Back Better”)」と話し、個人的な感想と気付きとして「パートナーシップが大切なこと、大学生も中々やるぞと思ったこと、行政と市民の関係では双方に柔軟性がないと感じたこと」などをあげました。(出典:安田医師の「報告資料」より)
●「Back to School」(学校再開支援)~ユニセフ・岩教組・県学校生協の連携で~
3月28日、新学期に向けた被災地の子どもたちの学用品支援に必要な1万6千人分の学用品を、広島、岡山、香川、愛媛の各県から駆けつけた延べ100人を超えるボランティアの皆さんが、岡山県ユニセフ協会に集まり、ユニセフの手提げバックにセットしました。ボランティアの子どもをおんぶしたお母さんは「悲しみや辛さを分かち合えるような気がします」と話しました。こうして梱包された学用品セットは、岩手県学校生協の倉庫に到着し、4月15日、学校生協本部倉庫で仕分け作業のうえ、ユニセフと岩手県教職員組合と岩手県学校生協の三者が協議し、すべての学校へ学用品を届けるため、各配送拠点から教職員ボランティアの皆さんによって子どもたちのもとに届けられました。これに対して、学用品をプレゼントされた児童や保護者から「お礼のメールや手紙」が届きましたので一部を紹介します。
●子どもがケアされるとは、まず親たちがもとの暮らしに戻れることが大切と痛感
安田直史医師の報告を聞いたボランティアスタッフたちは、「途上国とは違う支援」のむずかしさを感じました。また、「災害後に社会問題化することとして、従来問題であったもの、手薄であったもの(過疎・少子化高齢化・生活習慣病・虐待・麻疹)が増強される傾向がある」と「子どもがケアされることは、まず親がもとの暮らしに戻れることが大事」との指摘にうなずいていました。
▲荷下ろしする学校生協のスタッフたち
▲被災地に向けて積み込みする岩教組ボランティア
▲受け取る子どもの様子
©日本ユニセフ協会
▲岡山でセット作業するボランティアの皆さん
©日本ユニセフ協会
●受け取った子どもたちやお母さんから「お礼のメールやお手紙」が届きました
- 先日娘が嬉しそうに見慣れない手提げカバンを持って帰宅しました。中身は学用品。カバンにはユニセフと記載してありました。私は震災で車が流され会社も復旧の見込みがないとの事で解雇になったばかり・・・・。母子家庭なので私の収入が無くなった今、新学期を迎えた娘に満足なものも買ってあげられずにいました。文房具をいただけるとは思ってもいなかったので涙がでました。家も無事、家族も無事、避難所に居るわけではない私にとっては、初めていただく救援物資でした。ありがとうございました。
- 3月11日の地震と津波で、学校の1階そして、今まで楽しく暮らしていたお家や車、お父さんの仕事場も流されました。お父さんの仕事の都合で内陸の学校に転校しました。前の学校の先生やお友達とお別れするのがとても悲しかったけど、だんだん新しい学校にもなれてきて、今は楽しく学校へ行っています。ユニセフからいただいた学用品を大切に使って勉強をもっとがんばります。そして将来、人の役に立つようなお仕事がしたいです。私たちを遠くから見守ってくださって、ありがとうございます。どんなときも、負けないで、がんばっていきます。ありがとうございました。(小学校6年生)
●「ユニセフ東日本大震災募金」にご協力ください (5/9現在:19億35万1,363円)
5月9日午前9時現在までに、国内・海外のユニセフ協会から送金されたユニセフ東日本大震災緊急募金額は、合計19億35万1,363円に達しています。
当協会でお預かりした東日本大震災緊急募金は、全額、子どもたちを中心とする被災者の方々への支援に活用させていただきます。また、当緊急募金は、東日本大震災の被災地での長期的な復興支援活動までを含んだ必要な資金が充足されるまで受け付けさせていただきます。
どうぞこれからも、あたたかたなご理解とご協力をお願い申し上げます。
東日本大震災緊急募金
郵便局(ゆうちょ銀行)
振替口座:00160-2-372895
口座名義:公益財団法人 日本ユニセフ協会
*通信欄に「東日本大震災K1‐030岩手県」と明記願います。
*手数料はご負担くださいますようお願い申し上げます。
*当協会への募金は寄付金控除の対象となります。
<問い合わせ先>
岩手県ユニセフ協会 事務局 電話:019-681-7561
日本ユニセフ協会 災害対策盛岡事務所 電話:019-681-7561